甘くてみずみずしく歯ごたえも良い梨を、シャリシャリと音を立てて美味しそうに食べてる犬って多いですよね。
しかし見るからに水分が多そうですから、下痢や嘔吐などが心配になったり、りんごと同じ様なアレルギーがあるのではないか?と疑問にもなります。
今回は梨の良い点・注意点、梨の与え方や適量などをお伝えしますので、参考にしてみて下さい。
梨の良い点
梨の栄養素
犬に梨を与えることは、基本的に問題ありません。
梨はそのほとんどが水分で出来ており、食物繊維を豊富に含んでいます。
栄養素としては、ビタミンC・B1・B2、カリウムやカルシウム、鉄分などが含まれています。
しかし、残念ながらビタミン類やミネラル類が取り立てて多く含まれているわけではおらず、その代わりに酵素を多く含んでいます。
梨の代表的な栄養素はこちらです。
アスパラギン
アスパラギンはアミノ酸の一種です。
体内に滞ると有害物質になってしまうアンモニアを体外に排出する働きや、乳酸の分解を促進する作用がありますので疲労回復に役立ちます。
また、筋肉や内臓、血液や皮膚など体の大部分を構成するたんぱく質の合成にも関係する成分です。
プロテアーゼ
プロテアーゼはたんぱく質を分解してくれる酵素です。
犬はタンパク質メインの食事になりますので、食後などに摂取することで消化を助けてくれます。
有機酸(クエン酸・りんご酸)
有機酸であるクエン酸とりんご酸は、梨の酸味の元です。
これらには、疲労物質である乳酸を分解してエネルギーに変える働きがありますので、疲労回復・新陳代謝や食欲の向上などの効果があります。
また、炎症を抑える働きや殺菌作用もありますので、荒れた胃腸を正常に整えてくれる働きもあります。
ソルビトール
糖アルコールの一種であり、コレステロール値を下げる効果や便秘改善が期待される成分です。
水分を保持する働きもあり、腸の活動を活発にし善玉菌のエサになるとも言われています。
また、この糖分は吸収が緩やかで血糖値が上がり辛く、虫歯になりにくいと言われています。
カリウム
食塩などに含まれるナトリウムを排出し、血圧を下げる効果があります。
また、体内の水分バランスを調整し、利尿を促す働きもあります。
その為、むくみ・神経過敏・高血圧・不整脈・脳卒中・腎臓病などの予防に良いとされています。
その他には、代謝や神経を正常に働かせる効果もあると言われています。
食い付きが良い
梨の甘みや歯ごたえが好きな犬は沢山います。
勿論犬によって好みはありますがこの食い付きの良さを利用して、食の細い犬・食欲が落ちている老犬・療養食やダイエット食を食べたがらない犬の食事のトッピングなどに使うことが出来ます。
関連記事として、
・どうしてドッグフードを食べないの?考えられる原因とその対処法
・愛犬家に絶対読んでほしい!犬の健康を守る14個の老化チェック
水分補給
梨は約90%が水分で出来ていると言われています。
余りお水を飲まない犬の水分補給に、甘みや歯ごたえがあり好んで食べてくれ易い梨をおやつなどで与えるのは効果的です。
梨には利尿作用のあるカリウムも含まれていますので、塩分の排出なども一緒に望めるとも言われています。
梨を与える際の注意点
アレルギー
梨にアレルギー症状が出てしまう犬がいます。
また、梨はバラ科の果物です。
その為、りんご・桃・さくらんぼ・苺など、バラ科の果物にアレルギーがある犬には与えないで下さい。
この他にも、バラ科の果物は挙げていくとキリがない程たくさんあります。
いずれかの果物にアレルギーを持っているからといって、バラ科の全ての果物に必ずアレルギー症状が出るというわけでもない様なのですが、アレルギー症状が出てしまう可能性は高くなりますので注意して下さい。
どの様なアレルギー症状がどの位の度合いで表れるかは個体差がありますが、
梨を与えた際に、
●皮膚を痒がる
●くしゃみ・鼻水
●目の充血・目やに
●脱毛
●元気が無くなる
●嘔吐
●下痢
などの症状が出た場合にはアレルギーを疑ってみて下さい。
こちらの記事もご参照下さい。
・りんごを犬が食べるのは大丈夫?皮は?アレルギーは?下痢や嘔吐は?
下痢
梨のシャリシャリという食感は、リグニンやペントザンという食物繊維が蓄積し細胞膜が石の様に硬くなっていることから、石細胞と呼ばれています。
これらは食物繊維ですから腸を刺激し便秘改善などの効果がありますが、同時に犬に取ってはとても消化がし辛いものになります。
その為、食べ過ぎてしまうと下痢やウンチが緩くなったり、嘔吐してしまう場合があります。
また、梨にはソイビートルも含まれており水分も多いことから、過剰に摂取してしまうと下痢になり易い食材であると言えますので注意が必要です。
こちらの記事もご参照下さい。
・犬の下痢の原因はストレス?食べ過ぎ?症状から分かる病気や治療法
詰まらせる
梨は喉や食道にとても詰まり易いので注意が必要です。
詰まってしまわない様に小さく切って与えることは勿論ですが、盗み食いなどにも十分に気を付けて下さい。
犬は余りよく噛まずに丸呑みしてしまう傾向にあります。
万が一食道梗塞などを起こしてしまった場合には、麻酔を使用して内視鏡などで取り出す処置が必要になりますし、最悪のケースでは窒息死も考えられます。
誤飲してしまった場合は、速やかに動物病院を受診されて下さい。
また、普段からよく噛んで食べる様にしつけておくことも大事です。
中毒
梨の種の中・茎・葉にはアミグダリンという毒性物質が含まれていますので、丸ごと梨を与えることは避け、必ずこれらを取り除いてから与えて下さい。
このアミグダリンは胃液と反応すると、命に関わる危険性のある青酸中毒を引き起こす恐ろしい成分です。
青酸中毒の主な症状は、呼吸困難・虚脱・嘔吐・めまい・血圧低下などです。
青酸中毒には解毒剤が無く、胃液に反応する前に吐かせることが大事であると言われていますので、誤飲の疑いがある場合には早目の受診をおすすめします。
毒性物質が種の中にある為、種を噛み砕いて割ってしまわなければ大きな問題は無いとも言われていますが、注意するに越したことはありません。
また、未成熟の梨にもアミグダリンが含まれていると言われていますので、熟した梨を与えるようにして下さい。
スーパーで販売されているものは成熟したものがほとんどな様ですが、ご家庭菜園や梨狩りなどで取ってきた梨などには注意が必要です。
大量に与えない
梨を大量に与えてしまうと何かしらの問題が引き起こされる可能性があります。
梨は食物繊維が大変豊富ですので、大量に摂り過ぎてしまうことで下痢やウンチが緩くなってしまったり、胃酸過多になり嘔吐してしまうこともあります。
また、腸内細菌の働きにより発酵されたガスが腸に溜まってしまう場合もあります。
これらは特に胃腸が弱っている時などに起こり易いとされていますが、消化吸収能力には個体差があります。
少しの量を食べただけでも下痢や嘔吐をしてしまう場合もありますし、多くの量を食べても平気な犬もいます。
犬によって適量が異なりますので、梨を与える際は犬の体調や食後の様子、ウンチの状態などに注意してみて下さい。
梨の与え方
梨を与える際の1日の適量の目安としては、約20g(梨1/4)程度だと言われています。
与え方としては、皮は硬く実よりも更に消化が良くありませんので必ず剥いてあげて下さい。
また、消化が良くないとことや、喉や食道に詰まらせてしまう恐れもありますので、小さく切ったり、すりおろすなどして与えた方が望ましいです。
ミキサーなどでペースト状にして与えるのも良いと思います。
犬はよく噛まずに飲み込んでしまう傾向が強い上に、梨は喉や食道に詰まり易いので必ず気を付けてあげて下さい。
与える量としては大量に与えることは望ましくない為、いつものドッグフードにトッピングとして少しずつ乗せる程度から始めて、愛犬の適量を探してみるのが良いと思います。
まとめ
今回は梨の良い点・注意点、梨の与え方や適量などをお伝えしました。
梨はビタミン類は少ないながらも、たくさんの酵素や食物繊維が含まれているということが分かりました。
その為、下痢やウンチが緩くなり易いという面はありましたが、上手に活用すれば便秘の解消や水分補給に役立つ食材でした。
個人的には、旬の味覚としてワンちゃんと一緒に少量楽しむ程度で良いのかなぁ…というのが正直な感想でしたが、梨の甘みや歯ごたえが好きなワンちゃんもいっぱいいますので、しつけの際などに応用したりと色々なことに梨を活用してみて下さい。
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