小さくてつぶらな瞳の子犬が、ころころと動き回る姿は癒されますよね。犬を飼いたいと考える人たちの多くは、子犬の時から育てたいと考えるのではないでしょうか。
子犬は生活の中でさまざまなことを学習し、成長していきます。そのため子犬の頃に必要なことを覚えさせておくことは非常に重要になります。
そこで今回は子犬の育て方についてご紹介します。
子犬を育てるにあたり、何が必要なのか、注意するべきことは何か。など、わかりやすくまとめましたので、子犬を飼っている方、これから飼おうと検討している方の参考になれば幸いです。
子犬を迎え入れる時期
ペットショップやブリーダーなどで販売されている子犬は、生後49日を過ぎた子犬であることと法律で定められています。これは母犬や兄弟犬たちと早期に離れてしまうことによって、社会化が不足し、いろいろな問題行動を起こしやすくなるためです。
社会化とは?
生後3週間から3ヶ月の間に、子犬は母犬や兄弟犬たちを過ごしながら、犬社会でのルールを学びます。例えば母犬にじゃれているうちに嚙みついてしまい、母犬から叱られることがありますが、これはどの程度嚙んだらいいのか、甘噛みの程度を教えているのです。
この時期に、他の動物や人と出会う機会を設けたり、いろいろな音を聞かせたりしておけば、成犬になった後も恐怖や警戒心を持たずにいることができます。
ある程度の学習は母犬から学びますが、人と暮らすようになった後は、飼い主がさまざまな社会経験をさせる必要があります。
子犬に必要な社会化
- 顔や足など、子犬の体に触れてスキンシップを図る
- 散歩に出かけて、他の動物は人と出会わせる
- さまざまな音を聞かせる
小さいうちから顔や足などに触れ、触られることに慣れさせます。そうすることで、爪切りやブラッシングなどのグルーミング(お手入れ)を抵抗なくさせてくれるようになります。
また、小さいし室内犬だから散歩は不要と考える人もいますが、外の環境に慣れさせるためにも時々散歩を行う方が良いでしょう。
初めの散歩は短めに済ませ、徐々に時間を延ばしていくようにします。その時に車の通る音や、多くの生活音を聞かせ、新しい環境に慣れさせていきましょう。散歩を始める時期については、下記でご説明します。
子犬の成長過程
1歳までは子犬と考える人も多いですが、実際は6か月ごろまでを指します。6か月以降になると食べる餌の量も増え、メス犬であればやがて発情が訪れます。そう考えると子犬の成長はあっという間ですね。
子犬が産まれてから、どのように成長や変化がみられるのかをまとめました。
新生児期(生後1ヶ月まで)
母犬や兄弟犬たちと過ごす期間です。このころは母乳を飲む時間以外はほとんど寝ています。生後3週間で乳歯が生え始め、目が見えるようになり、離乳食も食べ始めるようになります。離乳のタイミングは生後1ヶ月半から2ヶ月半で、子犬を飼い始める最適な時期と考えられています。
子犬は生後4か月にかけて、犬社会のルールを学びます。
ポイント
- 授乳・排泄など、子犬の面倒は母犬がみる
- 子犬が犬社会のルールを学び始める
幼年期(生後1ヶ月~3ヶ月)
さまざま環境に興味を持ち、順応性が最も高い時期で、少しずつ個性が表れ始めます。この時期に子犬を迎え入れる人も多いです。
この時期にいろいろなことを経験させて慣れさせていきますが、子犬が怖がるようなそぶりを見せた場合は、無理にさせないようにしてください。少しずつ慣れさせていくことが大切です。
また、子犬が元気に走り回ると思いますが、この時期はまだ骨や関節が発育途中のため、激しい運動は避けてください。ハウスやトイレなどのしつけもこの時期から始めます。
そして忘れてはならないのが、ワクチン接種です。子犬は母乳に含まれる抗体で守られていますが、生後2~3か月になると抗体が徐々に消え始めるので、ワクチン接種を検討する必要があります。接種時期は獣医師と相談してください。
ポイント
- 人間社会のルールを学ばせる
- 発育途中のため、激しい運動は避ける
- しつけを始める
- ワクチン接種を検討する
少年期(生後3ヶ月~6か月)
骨格がしっかりとし、体力もついている頃です。この時期に散歩をし始めるので、ワクチン接種やダニやノミなどの予防をしておいた方が良いでしょう。
子犬は生後3ヶ月から乳歯が抜け初め、生後6か月までに生え替わります。そのため子犬は歯を気にしたり、いろいろな物を噛んだりする様子が見られます。
部屋にある物を噛まれてボロボロにされると大変ですので、嚙んでも良いおもちゃを与えるようにします。これは噛んでも良いものと、いけないものがあることを教える意味もあります。
ポイント
- 歯が生え変わる
- 散歩に適した時期
- シャンプーが可能になる
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子犬を迎え入れるための環境づくり
子犬を飼う前に必要なものを揃えましょう。
- ケージやサークル
- トイレ
- 食器類
- おもちゃ
- 寝床
- 餌
- 首輪
- リード
これらの道具の他、室内の環境を整える必要もあります。子犬は好奇心が旺盛なので、部屋の中のものを噛んで遊ぶことがあります。
コンセントのコードをカバーしたり、誤飲誤食してしまうものが転がっていないか確認しましょう。
また子犬を迎え入れる時間帯は午前中がいいとされています。迎え入れた時から夜までの時間がたっぷりとあれば、子犬は安心することができます。
犬の性格によっては、新しい環境に緊張し、精神的な不安から下痢や嘔吐をしてしまう子もいるでしょう。
特に子犬は1日のほとんどを寝て過ごしますから、無理に起こして遊ばせることは避けてください。子犬が慣れるまでは構いすぎないのが理想です。
子犬の食事
子犬は生後20日前後で乳歯が生え始め、固形食に興味を持つようになります。生後4~8週齢から離乳食に移行します。離乳食には子犬の発育に必要なビタミン、ミネラル、カルシウム、動物性タンパク質が含まれているものを選んでください。
離乳食からドライフードに変えるのは生後2~3か月が目安です。子犬用の餌は成長期に合わせて、高タンパク質、高カロリーに作られています。最初に与えるときはドライフードをふやかしてみても良いと思います。
まだ胃が小さいので、1回の量を少なめにし数回にわけて与えます。1日4回わけて与えるのが目安になりますが、食べ残したり、便の状態が良くなかったりする場合は調整してください。
食事の回数は徐々に減らしていき、最終的には1日2回にします。給餌量は餌の袋に記載がありますので、参考にしましょう。
ポイント
- 生後2~3か月からドライフードへ切り替える
- 子犬に必要な栄養を含んだ餌を選ぶ
- 初めは1日の餌を4回にわけて与える
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・ドッグフードの選び方が分からない方に!タイプ別、サイズ別、年齢別、目的別の特徴
・ドッグフードはいつ何回どれだけあげればいい?量や回数、時間帯について
・どうしてドッグフードを食べないの?考えられる原因とその対処法
ウェットフードでもいいの?
市販されている餌の中には、ウェットタイプや半生タイプのものがあります。それらは嗜好性が高いので、子犬は喜んで食べるでしょう。歯が弱ってきたシニアや、療養中で食欲が落ちている子にも適しています。
ただし、腐りやすい、歯石がつきやすい、歯や歯ぐきに与える運動量が少ないなどデメリットもあるので、基本はドライにしてごほうびに与えるような使い方をおすすめします。
子犬のしつけ
子犬のしつけは家に迎え入れた時から始めるのが基本です。しつけを行うことで、飼い主と犬の信頼関係が築かれ、無駄吠えや噛みつくといった問題行動を防ぐことに繋がります。
トイレトレーニング
子犬を迎え入れた時、1番初めに覚えさせたいのがこのトイレトレーニングです。決まった場所で排泄を行うようにしつける目的があります。
トイレの設置場所は人の通りが多い出入り口の傍は避けるようにし、風通りの良い場所を選んでください。
子犬は起床時、また食事や遊びの後に排泄をすることがあります。排泄をする前は、周囲の匂いを嗅ぎまわってそわそわと落ち着かなくなるので、そのタイミングでトイレに誘導するようにしましょう。
同時に「トイレ」など、排泄を促すような声をかけます。トイレで無事に排泄ができたら、やや大げさに褒めて撫でたり、美味しいおやつを与えます。決まった場所で排泄をすると良いことがある、と子犬が覚えていくのです。
もし失敗してしまった場合、強く叱りつけるのはタブーです。排泄したことを怒られたのだと勘違いし、飼い主に隠れてひっそり排泄をするようになることがあります。
そのため、失敗した時には子犬をいったん別の場所へ連れて行き、排泄物をきれいに片づけて、同じ場所で排泄しないよう匂いを取り除いておきましょう。
ハウストレーニング
ハウスは飼い主の合図で、子犬が自らケージやサークルの中に入るようにするトレーニングです。これは留守番させる時や来客時に役立ち、室内飼いをしている場合は必須であると考えます。
犬を部屋の中に自由にしている場合、突然狭い空間に閉じ込められてしまうと、子犬は鳴き出してしまうかもしれません。そのため普段から犬の生活スペースを設けて、決まった時間に室内でフリーにさせるようにすると良いでしょう。
ハウストレーニングの方法は、まずケージやサークルの中にトイレやおもちゃ、水飲み容器、餌入れを設置します。
その後、おもちゃやおやつを使って子犬を誘導し、自らケージやサークルの中に入るようにします。上手く入れたら褒めてください。
しばらくそのままで様子を見ますが、子犬が鳴き出しても無視するようにしてください。ここで構ってしまうと、子犬は鳴いたら構ってもらえると思い、その後も延々鳴き続けることがあります。
鳴いている時は構わず、大人しくしている時に褒める。これを繰り返しながら、子犬のいる部屋から離れる時間を作り、徐々にその時間を延ばしていきましょう。最初から長時間も家を空けることはせず、10分、20分と徐々に延ばしてみてください。
子犬との信頼関係がしっかりと築かれていれば、子犬は飼い主に置いて行かれたとは思わず、大人しく待つことができるのです。
その他のしつけ
しつけというと「オテ」や「マテ」「おすわり」などが一般的ですが、これらは芸と違い、犬に我慢させる、落ち着かせるなどの意味を持っています。
また犬が勝手にどこかへ行ってしまわないよう「おいで」を教えたり、「おすわり」の延長で「伏せ」を覚えさせれば、子犬の興奮を鎮める効果もあります。
このようにしつけとは、犬が人の社会で楽しく暮らしていくために必要なルールを学ぶことです。そのため中途半端に教えたりせず、子犬の頃からしっかりと覚えさせていきましょう。
まとめ
子犬の育て方について、主に基本となる情報をご紹介しました。
子犬を育てるにあたり、もっとも重要なのは社会化だと思います。この社会化が不完全なまま成長してしまうと、他人に対して過度な恐怖や警戒を抱いたり、車の音にびくびくしたり、特定の人間、または動物に苦手意識を持ったり、時には攻撃してしまう可能性もあるのです。
子犬を手にした時、初めは抱っこした状態で外へ出てみるだけでも十分です。いろいろな経験をさせ、学習させることで、その後のトラブルを回避できます。まだ子犬だから…といって、甘やかしすぎるのも良くありません。
両方にとって快適な毎日を過ごしていけるよう、子犬の時から適切な社会化、しつけを心がけましょう。